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クリスマス前夜祭PART1

12月9日

年内ラストの講座が8日に終了。

午後は、クリスマス映画を見ながら、“愛”の意味について考えた。

アメリカ映画『NOEL』のワンシーン。

主人公は、独身の中年女性(スーザン・サランドン)。

かつては結婚して子供もいたのだけど、その子を病気で失ってしまった。そして離婚。

あとは心閉ざして、ただ痴呆症の母親を介護するだけの孤独な日々。

その母親の隣の病室に、寝たきりの末期の男性患者がいた。

見舞う人は誰ひとりとしていない。薄暗い病棟にひとりきり。

その姿を見た女性は、思わずひとこと“I love you”とつぶやく。


女性には、クリスマスイブなのに、一緒にすごせる伴侶も友人もいない。母親には表情すらない。

氷が浮かぶ河のほとりにたたずんで、じっと凍てつく水面を見つめていた。


「何してるんだい?」と、不意に隣から声がする。


いつの間にか、男が立っている(ロビン・ウィリアムズ)。

さっきの病室にいた。孤独な男性患者の親戚だという。
 

“I love you”の言葉に愛を感じたという。


元神父だというその男性は、いつしか神が信じられなくなって神父をやめてしまった。と同時に信仰も失ってしまった。あとは独りきり――。

きみが飛び降り自殺でもするのかと思った、と笑う男。

男は女をお茶に誘う。せっかくのクリスマスイブだから。ひとりでいるのはあまりに寂しいから。

女は、自分のアパートに男を招く。一晩語り合う。


クリスマスの朝、男はおもむろに不思議なことを言いだす。

「昨日、きみの母親と話しをした」

「お母さんは、きみに自分の人生を生きてもらいたがっている」


もちろん、痴呆が進む母親に言葉が話せるはずもない。

女は男に不信を抱いて部屋から追い出してしまう。


ところが、ベッドに、男が置いていった十字架のネックレスがあった。

女はそれを返そうと、病室に向かう。あの孤独な男性患者の親戚だと言っていたから。

ところが、病院にいって看護師に聞くと、そんな人はいないという。

男性患者に身寄りはいない、と。


そんなはずはない。昨夜の男はそう言っていた。


その男の名を看護師に告げると、「その人ならあの患者さんです」

信じられない思いで、暗がりの中の患者をみつめると、たしかにあの男である。


昨夜、あまりに孤独に見えて思わず“I love you”と発したその相手。

それが昨日氷の川のほとりに現れたあの男だった――。


男は、死を待つばかりの病室で、不意に“I love you”の声を聞いた。

それに心動かされて、クリスマスイブの夜に女のもとに現れた。 


もはや言葉を発せない母親の心情を伝えるために――。


女は、真相を知って、患者の手を握り締める。「あなただったのね」

「もう無理しなくてもいいの」


クリスマスイブの夜に、女性は独りきりだった。

男の患者も独りで寝たきりだった。

表情をなくした母親もまた独りきりだった。


女性にとって、母親の言葉を告げに現れた男は、孤独を溶かす天使だったであろう。

男の患者にとって、ひとことの“I love you”は、天国に迎えられる前のこの上なくあたたかな贈り言葉になっただろう。

痴呆の母親にとっても、自分の思いが娘に伝わったというのは、これ以上ないクリスマスプレゼントになったことだろう。


ひとは孤独である。

でも相手の孤独に思いをやるだけで、その孤独は氷解して、あたたかな喜びに変わる。

人々がクリスマスに期待しているのは、そういう、通じ合える奇跡 なのかもしれないと思う。


一年に一度、そういう奇跡が不意にかなう夜がある。

それがクリスマスイブ――。


もしひとが、この冷たい冬の夜の孤独に思いを贈って、

心が通じ合うことの暖かさ・喜びというものを思い出せるとすれば、

それは悪くない習慣である。


仏教にはクリスマスはないけれど、

しかしクリスマスを“追い出す”こともあるまいと思う。


この星には、幸せを感じさせる上質の文化・物語がたくさんある。

どうせなら、たっぷりと、この暖かい冬の奇跡を味わってみるのはどうだろう。

通じ合うこと・思いを寄せ合うことの暖かさを思い出そうではないか。


クリスマスには、この世に無数ある寂しさに想いを贈ろう。

そして、あなたが幸せでありますように、と街を行き交う人々に想いを贈ろう。

それだけでも、こころあたたまる気がする。