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【出家、インドをゆく】あの時、ブッダは何に喜んだのか?


 夜、ナグプールからウダサ村へ、坊さんと初老の男性がやってきた。こうやってひとを呼んで私と交流させるのは、「人間フェイスブック」の異名をとるワスの算段だと決まっている(笑)。


とにかく交流大好きなおじさんワス(40代半ば)

 聞いてみると、二人とも、輪廻はブッダの教えだと頑なに信じている様子。はて、話が続くものかと思いつつ、会話を進めていった。

 原始仏典の話、瞑想修行の話、合理的な理解と思考の方法……相手の言葉を受けて、けして迎合することなく、ニュートラルに話を進めていく。

 すると、徐々に二人のリアクションが、私への異議や疑問ではなく、納得へと変わっていくことが、伝わってきた。

「輪廻とは妄想にすぎない。妄想から抜ければ、そのような物語は必要なくなる」

「苦しみには、さまざまな原因がある。心の苦しみの原因は、心にあるが、社会的な苦悩の原因は社会の側にある。

 政治・経済におけるシステムさえ変えれば解消できる苦しみもある。そこに輪廻は関係がない」

 そんな話になっていく。

 正しい道を実践すれば、来世を待つまでもなく、この人生において苦しみを抜けることができるのだ。そのクリアな道を説いたのがブッダである。

 妄想さえ抜ければ、苦しみも抜けられる。そして輪廻などの根拠なき妄想に縛られ続けることも止まる。

 そのときこそ、人間が悟った One’s got enlightened 時である。そのために気づきの修行をするのである。そういう話になっていった。

 面白かったのは、最初は輪廻こそがブッダの教えなんだと不機嫌そうに言い張っていた坊さんが、そのうち黙って、やがて目を輝かせて、私の話に耳を傾け始めたことだ。

 初老の男性も、最初とは明らかに違って、表情が生き生きしてきた。

「あなたは正しい You are right」

 と最終的に坊さんは言った。納得したらしい。


 彼が、伝統的な仏教への固執(思い込み)を抜け出し、短時間で新しい理解の可能性に目ざめていったのは、彼が不可触カーストの一員だからだろう。

 差別の苦しみの原因は、社会制度にある。その制度を作っているのは人間の心、特に妄想である、という話は、彼自身の過去の体験にてらして、「そうか!」と納得しやすいものだった。

 カーストも輪廻も「妄想」でしかない――これは、新しい理解であり、人生を根底から変えうるものであり、社会をも変えていく力を持つ真実である。

 その真実に立ちえた人間には、「汝は悟りに達したYou’ve got enlightened!」と声をかけるにふさわしい。

 かつてブッダは、輪廻の苦しみから抜ける方法を五人の修行者に説いた。苦しみつづける原因は、輪廻ではなく、心にあるのだと、ブッダは語った。

 ひとりの修行者コンダンニャが、そのとおりだと納得したとき、ブッダは「コンダンニャが悟った!」と喜びの声をあげた(サンユッタ・ニカーヤ)。

 そのときの光景に重なる思いがした。

 もし彼らモンク(職業僧侶)が、この現代インドにおいて、

「輪廻など幻想に過ぎない。
 人間の苦しみは、この一度きりの人生の中で越えることができる。
 その真実を悟った自分は、もはや世の不条理に支配されない」

 と高らかに宣言するに至れば、世の中は確実に変わっていくだろう。

 僧のみならず、すべての人々が、カースト? 輪廻? そんなものは、私にとってのダンマではない。It’s not my truth.と超然といえるようになるだろう。

 そういう〝抜けた人〟が増えていけば、それに感化される人も増えてくる。

 結果的に、社会は確実に変わっていくだろう。


 この日の体験は、私にとって新しい目を啓かせてくれるものであった。もしかすると、ひょっとすると、ブッダが試みたのは、こういうことだったのではないか、とふと感じた。

 それくらいに、劇的な変化を見た。正しい理解による喜びでひとの表情が輝いていく姿を、このインドの地ではじめて見た。

 二人とも、満足そうな顔をして帰って行った。

 そうか。そうなのか。この命の役割は、この地で、彼らが長らく支配されてきた「妄想」から抜けるすべを伝えることなのだ。

 この世界の不合理が、なにゆえに不合理なのか。その原因は何なのか。いかにすればその原因を抜けられるのか。それをクリアな言葉で伝えることが、使命なのだ。

 実に、これこそが、ブディズム(目覚めに至る方法)ではないか。

 自身のこの地での使命が、いっそう明確になった感のある夜の出来事であった。

サードゥ(善きかな)である。

州医師会での講演。ブディズムとは、妄想を抜ける道である。 

ジョルダンが悟った!と喜ぶ龍瞬(笑)。