仏教講座スケジュール

●古い仏教のイメージから自由になりましょう。心の苦悩・現実の課題を越えてゆくことが、最も大事なこと。思い込みを捨てた時に、ブッダの教えの真髄がみえてきます。
●全国行脚は毎年夏! 講座・個人相談・法事など、ご希望者はご連絡下さい(クリック)
●仏教講座のスケジュールはこちらをクリック。 
●メール通信、配信中。
①お名前、②都道府県、③近況(本の感想・知ったきっかけ等も可)をひとこと 書いて koudounosato@gmail.com まで。※フリーメール着信拒否の設定になっていないか、ご確認ください。
●廃寺・空き寺・日本家屋を募集中! 生き方と教育と仏教をひとつの場所で――ご提供くださる方、ぜひご連絡ください。

西郷どんと幸福のタネ

2017年11月18日
こんにちは、草薙龍瞬です。 ※写真公開は数日後

昨日まで鹿児島にいました。
企業経営者の方々向けの講演会でした。

毎回感じることですが、初めての相手に、しかもかなりの大人数に、ブディズムを伝えるというのは難しい(笑)。

今回についていえば、「マインドフルネス」という言葉を聞いたことがあった人は、百名ちゅう2,3名。びっくりですが、現実はそれくらいなのですね。

そもそも、人間は「自分の心の状態を理解する」という発想がない。心ひとつを外の世界に反応することに使いつづけて、その状態が「おかしいのでは?」と思う発想がない。

まして、今の時代のように、欲と慢と怒りと妄想とが、国家間レベルでも、メディアレベルでも、さも当然のごとく正当化されてしまう状況にあって、

「心を理解し、心の動きを止めないと、さらなる危機を招くことになる」という真実に目が覚めるというのは、本当に難しいことなのです。

(仏教を知っている・学んでいるみなさまは、本当に「意識高い系」のひとたちなのです。)

◎さて、来年の大河ドラマが「西郷どん」という頃合いにうまく重なり、今回は主催者の方々のはからいで、いくつかの観光スポットを案内していただいた。

西郷隆盛が西南戦争で自死する直前の五日間籠城したという小さな洞窟(穴は小さくて冷たかった)。

西郷どんとその同志たち――殉死したなかには14、5歳の少年たちも。それくらい西郷どんは圧倒的な包容力をもって慕われていたらしい――が眠る神社。

(※墓があるのが寺ではなく神社というところが、廃仏毀釈を進めた明治政府の元締め・薩摩藩らしい(笑)。その薩摩藩をも越える地平を見すえていた西郷氏とその同志たちに敬意を払えば、お上目線の「西南の役」ではなく「西南戦争」と呼びたくなる。)

政府に逆らうつもりはなかったが、その徳の大きさゆえに結果的に反乱分子の引率者としての役割を担わされるに至ったせつない人生の一端を垣間見る思いがする。掘り下げていくと、西郷どんの人生はかなり面白そう。

【写真 いろんな烈しさとせつなさの舞台になった鹿児島の景色】



●そのあと桜島へ。毎日のように噴火している活火山をこんなに近くに見るのは初めて。

(こんな景観毎日見ていたら、人格に影響しないのかなと思ったが、なんとあの長渕剛氏は、桜島をこよなく愛し、7万5千人も船で運んでオールナイトライブをやったそうな(笑)。)

写真【長淵、吠える!】

最後に立ち寄った展望台は、大正3年の大噴火で距離400メートルあった海が溶岩で埋まり、二つの島を地続きにしてしまったという、その溶岩の上に作られたもの。

もう日は暮れて薄暗く、冷たい風が吹き、奇怪な形をした巌がゴロゴロしていて、周りには人家もなく、人間一人としていないという、恐怖さえ感じる荒涼たる世界に、ただひとり――この瞬間が今回一番印象に残ったかも。かつてこれほどに殺伐とした心象風景の中にかつて自分がいた時代があったなあという感慨も。

【写真 こんな心象風景の中で死ななくてよかった(笑)】

タクシーの運転手の方に聞くところによると、西郷家や島津家の末裔は、今も健在で鹿児島在住なのだそうだ。歴史上の人物の子孫が、今も生きているなんて、不思議な感じ。子供を持つって、すごいことかも。あと何百年もあとの未来社会に、「自分の子孫」が生きているかもしれないのだ。

ひとりの人生はあまりに短く小さい。家族を持つことで苦悩が生まれるという逆展開もありうるが(笑)、大きな視点でみれば、多少の苦悩は差しおいても、子孫へとつなげていくための小さな「橋」になることは、悪くないかもしれない。

もちろん私自身は、橋になる機会はなく、この小さな肉塊をもって消えていくのだろう。とはいえ、その人生に一片の不足もない。「足りないもの」を妄想しなければ、どのような人生も、それ自体で完結した、なにひとつ足りぬものなどない、完全な作品である。孤独感など生まれようもない。

ただ多少なりとも妄想を広げてみれば、ふつうに命の営みを重ねて、子孫へとつないでいく人生もある。そうした人生もまた尊い。

子孫を残さない人生と、残る人生とは、まったく違うものであって、比較しようがない。それは、ガラパゴス諸島に生きる生き物と、アラスカ半島に生きる種とが、まったく相交わらないまま、それぞれに完結した一生を送っていることに似ている。彼らは「不足」など夢にも思わぬだろう。

二つの異質の世界に生きるものたちは、自分以外の他者の人生を想像するという発想がないから、それぞれに完全なのである。

◎ただ、もしいずれかの世界に住む生き物が、遠く隔たる世界に生きる人生を想い、少しでもその人生においてこそ体験できるであろう喜びを夢想したら、そのときは一抹の淋しさを感じるに違いない。

その淋しさは、感じないほうが幸せなのか、それとも感じるほうが幸せなのか。

たぶん、いずれも幸せである。

淋しさを知らなければ、おのれの人生だけに満ち足りて生きられるし、

淋しさを知っていれば、それだけ自分の人生・他者の人生のかけがえのなさを実感できるだろうから。

◎九州最南端に到達したのは、人生史上初めてのことだった。ここにもたくさんの、自分が知らない人生があること――生まれて、生きて、消えていく無数の命のありよう――を見て、せつなくなった。私がこの地に生まれて、この地に育っていたら、どんな人生になったであろうか(「私」を前提とする完全な妄想・誤謬だが(笑))。

もうひとつ個人的に面白かったのは、宿泊したホテルの見晴らしの良い高台に、「二人のきずなを永遠にする」オブジェがあったこと。フロントでもらった錠前に二人の名前を書いて、高台にあるステンレス製のハートマークのオブジェにロックする。すると二人には、離れようにも離れない永遠の絆がもたらされる、という趣向。

【写真 これで二人は永遠】

離れたくなっても離れられないというのは、見方によっては恐ろしい話だが(笑)、「こんな関係になればいい」という願いを象徴するものとしては、楽しい工夫である。

もちろん必要なのは、外れない錠前のような固い絆を作るには、どんな心がけをいま大事にすればいいかということで、それはやはり慈・悲・喜・捨ということになるだろう。

未来を夢見る二人が、フロントで錠前を受け取って、この場所に来たら「永遠のきずなを育てる秘密の言葉」(慈悲喜捨)が入った洒落たカプセルが下がっていて、それを受け取って、代わりに二人の名を書いた錠前をロックするというあり方なら、もっといいかも――と野暮な妄想をする私は坊さん(笑)。

◎このホテル、夜はイルミネーションに彩られる。歩いていると噴水広場に。いきなりクリスマスソングが流れだした。そのメロディに合わせて、噴水が高低を変え、照明の色もまた鮮やかに変わる。

【写真 水も光も音楽に合わせて踊る】

ジョイ・トゥ・ザ・ワールド♪とか、マライア・キャリーのクリスマスソングとか、豪華なラインアップが次々と流れるなか、噴水も光もそれにあわせて踊る。そして眼下には鹿児島市街のきらめく灯【ひ】が一望できる。

笑ってしまった。じつに愛ある演出だ。新婚旅行の二人にはぴったりだが、眺めているのは、そういうシチュエーションにまるで縁のない一介の出家である。

噴水のまわりには、カップルも、幼子をつれた若夫婦もいた。
みんなが幸せでありますように。


◎幸せの作り方は、人生によってさまざまである。この世界の幸福は、ひとりひとりの、種類の異なる幸せが支えている。

あんな幸せもあれば、こんな幸せもある。それぞれが役割を負っている。それぞれがささやかな幸せをその人生のうちに育てることで、この世界の幸福の総量が増える。

ちがう人生のなかで、幸せを育てること。そうして世界に幸せそのものが生き延びてゆければ、それもまた大きな目で見れば、違うタイプの子孫繁栄ということになる。

独りの人生では、「幸福な子」は育てられないが、「幸福の種子」は育てられる可能性がある。それは、小さな人生のたしかな動機、生きる意味である。

人間は、幸福への種をまくだけでよい。
というか、そんな思いを胸にもつことが、すべての未来への橋になる。

【写真 羽田の空のきらめく灯】




11月の講座案内&衝動買いの抑え方

【お知らせ】
★11月・12月の仏教講座は、いよいよ総集編――

○実用的なテーマをもとに原始仏教を解説
 あわせて、
○日本仏教に関するオリジナル教材を毎回配布【講義つき】
○質疑応答


の3本立てで構成します。

※日本仏教の教材は次の通りです(●部分が教材名。同じタイトルの場合は教材同じ。ただし追加資料は毎回変わる可能性があります)。

11月 3日(金)10:00 ~ 12:00 生き方としての仏教講座 神楽坂 
●禅の世界~心を清浄にする技術&道元の思想 
11月 9日(木)14:00 ~ 16:00 駒込・仏教のすべてを学べる講座 駒込地域文化創造館 
●空海~自由な生き方を始めよう 
11月 9日(木)19:00 ~ 21:00 生き方としての仏教講座 神楽坂 
●禅の世界~心を清浄にする技術&道元の思想  
11月 10日(金)18:30 ~ 20:30 自由な心にたどり着くための仏教・原始仏教編 朝日カルチャー新宿
11月 15日(水)10:30~12:00 東急BE二子玉川/13:30~15:00東急BEたまプラーザ 座禅エクササイズと「心がラクになる」仏教こばなし
11月16日~17日 鹿児島・講演会 ★個人相談可
11月18日(土)18:00~20:30 生き方としての仏教講座 神楽坂 
●種田山頭火~業は越えられるか 
11月20日(月)19:00 ~21:00 生き方としての仏教講座 神楽坂 
●種田山頭火~業は越えられるか
11月21日(火)10:30~12:00 名古屋「仏教は暮らしに役立つ「心の使いかた」 栄中日文化センタ
11月23日(木祝)14:00 ~16:00 生き方としての仏教講座 神楽坂 
●法然~新しい人生に踏み出す勇気
11月23日(木祝)18:00 ~20:00   座禅会 解説ガイドブック&座談会つき 神楽坂
11月30日(木)14:00 ~16:00 駒込・仏教のすべてを学べる講座 駒込地域文化創造館 
●最澄~人生を変える覚悟の固め方

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんにちは、草薙龍瞬です。

●毎日、新刊の原稿をいそいそと書いています。サラは外でひとりで遊んで、飽きたら戻ってきて、窓べりにひょっこり顔を覗かせ、膝に乗せてやるとゴロゴロしています。

●最近のおたよりです。坐禅会に参加した方の感想です――


私は、いつから勘違いしていたのか?

これまで「妄想が出てきたときに、それをラべリングしたり感覚に集中して、消すこと」をせっせと行っておりました?!←言い換えますと「妄想を出待ちしていました!?」

今日の座禅会で、龍瞬先生がわかりやすく、そして何度も力強くお話くださり、ハッとしました。

雑念が出てくる前に、いいえ、雑念が入る余地のないような強い心の状態、集中した心の状態を保つ=これが心にとって最高の状態、理解しているという状態。

かなりの集中力が必要とも思いますが、
今までのように、雑念を出し放題にして受け止め対処するよりは、
また、それでも出てきたら対処すればいいのであれば、疲れないかとも思いました。

お恥ずかしい限りですが、私、大きな勘違いをしていましたでしょうか??
いま、気分が晴れ晴れした感覚です。ありがとうございます。


●「妄想が出たあとに気づいて消す」というのは、もちろん妄想をリセットする基本ですね。

ただもうひとつは、最初から感覚を意識し、理解するという心がけに立って反応しないようにして、妄想を未然に防ぐという状態があります。

禅の修行というのは、むしろ後者の方が近いかもしれません。最初から妄想せずに、反応せずに、理解しているだけの心の状態です。

反応してしまう⇒その後にリセットする、というのと、

反応を最初からしない=ただ理解するという前提に立っている、というのとでは、

やはり心の持ち方はかなり違うだろうと思います。この方は、かなり大きな違いに気づいたことになります。素晴らしい!


帰り道、ついついコンビニ(スイーツ)に寄ろうとしましたが、「雑念(誘惑)が出てくる前に集中」と心で唱え、足の裏を意識したら、お店に入ろうと思わなくなりました。
やはり仏教は、ダイエットにも繋がると思います(^^)


●「スイーツ」は、最初の段階では「妄想」ということになりますね。「どうしようかな」「あ、スイーツ」「欲しい」という、反応の連鎖のはての衝動買いです。


妄想が減れば、欲望は減ります。欲しい物って、あんがい少ないかもしれません。

そうそう! 今日スーパーでヤクルト・ジョアの「まろやかハニー味」を発見! 

事前に妄想はしませんでしたが、見てすぐに買いました(笑)。